クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー だれもが文化でつながるプロジェクト

短期集中キャンプ「共鳴する身体」

参考画像 撮影:佐藤 基

本プログラムは、インクルーシブ・デザインの手法により、障害当事者や専門家のみならず、文化や言語、考え方の異なる人々が協働しながら、芸術文化の新しい楽しみ方を追求することを目指すワークショプです。日本をはじめ海外の専門家をディレクターとして招き、公募による参加者が一堂に会する5日間のプログラムを実施します。ゲスト講師によるレクチャーやグループワークなどを通じて協働でプロトタイプ制作に取り組み、新しい音楽の楽しみ方を提案します。あわせて、参加者間でのネットワーキングを推進するとともに、障害のある人とない人がともに楽器を開発・共有するコミュニティの形成をめざします。

協力:神戸芸術工科大学、フェリス女学院大学
機材協力:APPLE TREE株式会社、株式会社ティーファブワークス

ディレクターズ・ステートメント

共鳴する身体

私たちの生活のなかにはさまざまな身体により奏でられる音があり、人々は昔から楽器を身体器官を拡張する道具の一部とし、コミュニケーションや情報伝達に留まらない多様な役割を見出してきました。 楽器は、言語のみでは伝わり切らない私たちの感情表現の手段であり、儀式や儀礼を通して継承されてきた伝統やシンボル、社会や文化的アイデンティティの一部でもあります。

そして、現在はデジタルファブリケーション、センサー技術、機械学習など、様々なテクノロジーが民主化され、誰もが人と道具・機械との関係性をデザインして、試すことができます。

本ワークショップでは、参加者の感覚や身体特性と知り合い、身体と音の関係性を多様な視点から見つめることで、現在/未来における新たな、そしてアクセシブル“楽器”を考えて形にします。 異なる身体・感覚・背景を持つ人々と協働することで、これまでの楽器のあり方を再想像し、より幅広い違いを受け入れることのできる楽器を創り出せるはずです。

今回の取り組みは、未来へ続く革新的なパイロットプロジェクトとして、単に“音”をデザインすることのみならず、異なる能力をもつ人々の特性に合わせた“音”を具現化し響き合わせる最良の機会となります。

「楽器を弾きたい」「いろんな人とセッションしたい」。

音をめぐるさまざまな想いを実現し、参加者同士の交流のなかで生まれた感情や音を伝え合い、活発なコミュニケーションの場を育みます。

仲間と共創し奏でる共“遊”体験を通じて、身体感覚をたよりに​​“音”を“楽”しむ5日間。

共に学び、考え、試行錯誤して未知の音楽を協奏しましょう。

プログラム構成

Day0

リモートセッション&コミュニケーション

・Day0の詳細は、結果通知とともにお知らせします。

・ディレクター・参加者同士が気軽に交流できるようコミュニケーションツールも活用します。こちらも後日お知らせします。

Day1(6月28日)

イントロダクション

レクチャー①

講師:
長津結一郎

フィールドワーク

ゲスト・ファシリテーター:
ライラ・カセム

グループ・ワーク①

アイデアスケッチ・ワークショップ

グループ・ワーク① アイデアスケッチ・ワークショップ
グループ・ワーク① アイデアスケッチ・ワークショップ

パフォーマンス・セッション(ディレクター陣によるデモ演奏)

パフォーマンス・セッション(ディレクター陣によるデモ演奏)
撮影:Shunsuke Yasui(左)
パフォーマンス・セッション(ディレクター陣によるデモ演奏)

Day2(6月29日)

レクチャー②(予定)

グループ・ワーク②「プロトタイプ制作」

楽器制作ツールキットやスチロールカッターを使って、楽器の新しい機能や形を創作します。

パフォーマンス・セッション(ディレクター陣によるデモ演奏)
パフォーマンス・セッション(ディレクター陣によるデモ演奏)

Day3(6月30日)

グループ・ワーク③

デジタルファブリケーション機器を活用し、アイデアをより具体的な形にしていきます。
使用機材:
3Dプリンター、レーザーカッター、スチロールカッター、DIY工具

グループ・ワーク③
グループ・ワーク③

Day4(7月1日)

グループ・ワーク④

デジタルファブリケーション機器を活用し、楽器の完成を目指します。
使用機材:
3Dプリンター、レーザーカッター、スチロールカッター、DIY工具

グループ・ワーク④
グループ・ワーク④

ジャムセッション開催

参加者全員で新しい楽器を演奏します。

Day5(7月2日)

作品設営(東京都美術館)

完成した作品は、ショーケース会場にて公開展示します。

プログラムディレクター

金箱淳一(神戸芸術工科大学准教授、楽器インタフェース研究者)

情報科学芸術大学院大学(IAMAS)修了後、玩具会社の企画、女子美術大学助手、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科研究員、産業技術大学院大学助教を経て、現在に至る。筑波大学大学院人間総合科学研究科で博士(感性科学)を取得。障害の有無にかかわらず、共に音楽を楽しむためのインタフェース「共遊楽器(造語)」を研究・開発。作品《楽器を纏う》の制作経験を基に東京2020パラリンピック閉会式の演出協力、他クライアントワークも多数行う。2021年に制作した作品《音鈴 - 信濃》《Vibracion Banco》は長野県立美術館に収蔵。
http://www.kanejun.com/

金箱淳一

中西宣人(フェリス女学院大学准教授、株式会社A-KAK取締役、楽器デザイナー、サウンドデザイナー)

多様な奏法に対応する音楽インタフェースやデジタル楽器の開発と研究に従事。「The Cell Music Gear」、「B.O.M.B.」、「POWDER BOX」など開発したデジタル楽器で、電子工作コンテスト優秀賞(2011年)、Asia Digital Art Award 優秀賞(14年)、Laval Virtual ReVolution“Residence”(14年)などを受賞・選出。また、これらの楽器を用いた演奏活動も国内外で行い、千代田芸術祭2014にて岸野雄一賞、Georgia Tech’s Margaret Guthman Musical Instrument Competition 2017ファイナリストなど入選歴多数。センサー開発企業や教育機関とのデジタル楽器の共同開発や国内外の演奏活動など、音と音楽を中心に多角的に活動している。
https://yoshihito-nakanishi.com

中西宣人

アンドレアス・シアギャン(アーティスト/エンジニア)

インドネシアのジョグジャカルタを拠点に活動。DIY電子工学、分野横断的なアート活動を展開する。2012年に芸術と科学、テクノロジーの市民イニシァティブ「Lifepatch(ライフパッチ)」を共同で設立。2014年にはHackteriaとLifepatchで共催したHackterialabの共同ディレクションを担った。2013年にインドネシア・ジョグジャカルタで、2015年にオーストラリア・メルボルンのビクトリア国立美術館で開催された、音や楽器に焦点をあてたコラボレーション・プロジェクト「The Instrument Builders Project」に参加。2018年には、「BioCamp: Gardens as ‘Biotechnik’」協働ディレクター、Indonesia Netaudio Festival芸術監督、Hacklab Nusasonic協働ホスト、「Arisan Tenggara」ファシリテーターを務める。2019年にドイツ・ベルリンにて「MusicMakers Hacklab - CTM Festival」を共催し、「Yogyakarta Cultural Festival」にてコンテンポラリー・オーディオビジュアル・パフォーマンスのキュレーションを担当。近年は独自の楽器を創作し、自身のウェブサイト「instrumentasia」にて公開している。
https://instrumentasia.net

アンドレアス・シアギャン

講師・ファシリテーター

長津結一郎 (アーツマネジメント研究者、九州大学大学院芸術工学研究院准教授/アーツ・マネジメント、文化政策/博士(学術))

多様な関係性が生まれる芸術の場に伴走/伴奏する研究者。障害のある人などの多様な背景を持つ人々の表現活動に着目した研究を行なっているほか、音楽実技やワークショップに関する教育、演劇・ダンス分野のマネジメントやプロデュースにも関わる。著書に『舞台の上の障害者ーー境界から生まれる表現』(九州大学出版会、2018年)、共編著に『アートマネジメントと社会包摂』(水曜社、2021年)など。障害のある人の表現活動に関連する文化庁・厚生労働省の複数の委員を歴任。九州大学大学院芸術工学研究院附属社会包摂デザイン・イニシアティブソーシャルアートラボ長。
https://ynagatsu.com/profile

長津結一郎

ライラ・カセム(デザイナー、東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属共生のための国際哲学研究センター(UTCP) 特任研究員)

エジンバラ芸術大学卒業後にデザイン事務所に就職後、2010年に東京藝術大学大学院デザイン科に進学。同学で2012年修士、16年に博士号を取得。デザイナーの観点から障害福祉の現場の創作活動とデザイン実技を繋げ、協働創作を通して商品開発や様々なプロジェクトを企画・運営。障害のある人々の経済自立・社会参加と共にデザイナーや企業の社会意識を促す活動をしている。その象徴でもある「シブヤフォント」ではアートディレクターを務め、本プロジェクトはグッドデザイン賞や内閣府オープンイノベーション大賞など多数の賞を受賞。2022年4月から東京大学UTCPの研究員に着任。
https://www.shibuyafont.jp

ライラ・カセム

マーク・デュセイヤ(学際ワークショップ専門家、文化ファシリテーター、アーティスト)

科学、芸術、教育の分野を組み合わせて活動を展開。アーティストや学校、子供向けに、シンセサイザー、DIY顕微鏡などのワークショップを数多く実施する。インドのスリシュティ・インスティテュート・オブ・アートやカリフォルニア大学サンタバーバラ校、スイス北西部応用科学芸術大学、チューリッヒ工科大学等でゲスト教員やメンターとして教鞭をとる。スロベニアのKapelica Galleryと共同で、生命科学の学際的芸術学的研究のためのオープン・プラットフォーム「BioTehna Lab」を開設(2012-13年)。スイスを拠点としたバイオアートに関するオープン・プラットフォーム「Hackteria Lab」共同創設。

マーク・デュセイヤ

実施日

2022年6月28日(火)〜2022年7月2日(土)11時00分〜18時00分

7月3日(日)~7日(木)に参加者による公開発表会を実施します。詳細はキャンプ内でお知らせします。

会場

会場

LIFULL Fab(https://fab.lifull.com

住所

〒102-0083 東京都千代田区麹町1丁目4−4

アクセス

東京メトロ半蔵門線「半蔵門駅」3a,3b出口徒歩2分

※会場へのお問合せはお控えください。
会場に関するご質問等は、下記までお問い合わせください。
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 企画部
電話:03-6261-5420 平日10時00分〜18時00分
Email: programs-inquiry@rekibun.or.jp

参加費

無料

情報保障支援

  • 日英逐次通訳
  • 日本語―日本手話言語通訳
  • 日本語文字表示(UDトーク)
  • スライド資料の事前提供

上記のほか、情報保障に関するご要望がございましたら申込時に記載ください。

応募要項(応募は締め切りました)

応募受付期間

2022年4月28日(木曜日)~2022年5月27日(金曜日)厳守

募集人数

20名程度

応募要件

  • 会期中のすべてのカリキュラムに参加可能であること。
  • 研究や創作活動等の実績を有すること。
  • 本ワークショップでの活動を今後の自身の活動に活かせること。
  • 本テーマに対して熱意を持って取り組めること

参加対象者

  • 新しい音楽の可能性に関する活動に興味・関心があるひと
  • アーティスト、音楽家、プロダクト開発、エンジニア、サービスデザインなどのクリエイティブ分野のひと
  • 情報保障学、情報工学、情報デザイン、情報支援等分野にかかる研究者
  • 文化施設従事者、社会福祉施設従事者、教育機関従事者、芸術文化活動従事者

選考基準

申込多数の場合は、申請内容をもとに主催者にて選考を行い、参加者を決定します。

選考結果の通知

選考の結果は、2022年6月上旬までに申請者のEmail宛にご連絡いたします。

応募方法

応募フォームにてお申し込みください。
もしくは、件名を「短期集中キャンプ応募」とし、本文に以下の内容を明記の上、メールにてprograms-inquiry@rekibun.or.jpまでお送りください。

  • 氏名(ふりがな)(※)
  • 年齢(※)
  • 居住地/国籍(※)
  • メールアドレス(※)
  • 職業・所属先(※)
  • 専門分野・領域(下記よりお選びください/複数回答可)その他を選ばれた方は別途記入ください。(※)
  • 音楽、アート・現代美術、デザイン、プロダクト開発、エンジニア、建築・インテリアデザイン 、福祉、教育、その他
  • 本ワークショップ参加を希望する理由や期待すること(400文字程度)(※)
  • 本ワークショップにあたり希望するそのほか情報保障支援、サポートがあれば教えてください。
    例:指点字通訳、触手話通訳
  • 上記のほか、ご自身の活動を紹介するポートフォリオなどがあれば添付ください。