国際会議(本会議)
本カンファレンスの中心プログラムとなる「国際会議」では、芸術文化によるダイバーシティ/包摂性の推進に関し、本カンファレンスを構成する5つのテーマ「ウェルビーイング」「ダイバーシティ」「インクルーシブ・デザイン」「アクセシビリティ」「つながり・居場所づくり」から、本会議と分科会を開催します。本会議では、芸術文化のみならず、多様な地域・領域から政策立案者や研究者、実務家、クリエイター等を迎え、国際的な見地における共通課題を提起していきます。
開催期間・会場
- 会期:
- 2022年7月2日(土)〜7月4日(月)
※開会式を含む - 会場:
- 東京国立博物館平成館大講堂
※国際会議・開会式/基調講演、本会議のみ当日ライブ配信を実施いたします。ライブ配信は、事前登録の申し込みは不要です。7月2日(土)〜7月4日(月)の間 、本サイトでご視聴いただけます。
参加費
無料
情報保障支援
日英同時通訳、手話通訳(日本語-日本手話言語)、文字情報支援(UDトーク)、事前資料提供
定員
各回171名(先着順)
セッション
K-1 基調講演
7月2日(土曜日)13時00分〜15時00分
開会式/基調講演
芸術文化による共生社会の実現を目指す国際カンファレンス「だれもが文化でつながる国際会議」。国際会議、ショーケース、短期集中キャンプ、ネットワーキングの4つのプログラムに先行し、開会式と基調講演を開催します。基調講演には、2015年に東京都と姉妹友好都市関係を結んだロンドン市より、文化・クリエイティブ産業政策に関する中心的な役割を担うロンドン市副市長が登壇。また、都立文化施設によるプロジェクト「クリエイティブ・ウェル・ビーイング・トーキョー」とも協働研究を行う筑波技術大学より、手話言語学・ろう者学の専門の大杉豊教授も講演を行います。さらには、アートとビジネスから、福祉を起点に新たな文化をつくりだす福祉実験ユニット・ヘラルボニーから、松田崇弥氏が登壇。各界から注目を浴びる登壇者の講演から、芸術文化が有する多様性や相互理解等が切り拓く社会・文化・エコシステムの可能性を考えていきます。
開会式 登壇者
主催者挨拶
- 小池百合子(東京都知事)
来賓挨拶
- 日比野克彦(東京藝術大学長)
- 逢坂恵理子(独立行政法人国立美術館理事長・国立新美術館長)
ビデオメッセージ
- アンドリュー・パーソンズ(国際パラリンピック委員会会長)
基調講演 登壇者
ジャスティーン・サイモンズ(ロンドン市副市長(文化・クリエイティブ産業担当))
大ロンドン庁発足以来、ロンドンの文化の活性化において中心的な役割を担い、首都の文化戦略構想と発展を統率する。その文化貢献が評価され、2015年に大英帝国勲章を受章。
世界の40都市が加盟する、都市の文化と未来を考える大規模なイニシアチブ、「世界都市文化フォーラム」を設立し、議長を務める。2012 年ロンドンオリンピック・パラリンピック大会では、ロンドン史上最大の祭典を主導し、5000を超えるイベントを開催。現在はその跡地であるクイーン・エリザベス・オリンピック・パーク内の新しい文教地区、イーストバンクを監督する。
映画、ファッション、ゲーム、デザインなど、ロンドンのクリエイティブ産業への投資戦略を確立し、イギリス初のクリエイティブ・エンタープライズ・ゾーンや、不安定な文化基盤を保護する機関、Culture at Risk Officeの発足、ロンドン特別区文化賞の新設、初の文化インフラ計画などの改革政策を立案。
また、英国最大の彫刻賞であるフォース・プリンスを創設し、「London’s Commission for Diversity in the Public Realm(公共圏における多様性委員会)」の共同議長を務める他、「Mayor’s Suffrage Statue Commission(女性参政権記念像委員会)」の議長として、パーラメント・スクエア(国会広場)に初の女性像(選挙運動家ミリセント・フォーセット像)建立の実現に貢献。最近では、コロナ禍からのロンドンの復興を支援する「Let’s Do London」キャンペーンを推進している。
大杉豊(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター教授/手話言語学、ろう者学)
18歳の手話言語との出会いを「言語文化的に生まれ変わった」と表現する。劇団員、専門学校教員、米国の大学教員、きこえない当事者団体事務局職員などの職を経て、2006年より筑波技術大学に勤務。きこえない学生に手話言語学やろう者学を指導する傍ら、手話言語の歴史的な変化や地域的な差異をテーマにフィールドワークを続ける。全日本ろうあ連盟、全国手話研修センター日本手話研究所、日本アメリカ手話言語協会、現代人形劇センター、国際ろう者スポーツ委員会などで手話言語とろう者文化の社会的認知を求めてグローバルな活動を展開している。
http://www.deafstudies.jp
松田崇弥(ヘラルボニー代表取締役社長)
1991年、岩手県生まれ。2018年、「異彩を、放て」をミッションに掲げる福祉実験ユニット「ヘラルボニー」を双子で設立。知的障害のあるアーティストが描くアート作品を、商品プロダクトやギャラリーなどで発信する。19年には福祉を起点に新たな文化をつくりだすブランド「HERALBONY」を開始。21年には障害のあるアーティストの才能を披露する「HERALBONY GALLERY」を盛岡市にオープン。現在、岩手と東京の2拠点を軸に福祉領域のアップデートに挑んでいる。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。2022年には経済産業省主催「日本スタートアップ大賞 2022」にて審査委員特別賞を受賞。
https://www.heralbony.jp/
情報保障支援
日英同時通訳、手話通訳(日本語-日本手話言語)、文字情報支援(UDトーク)、事前資料提供
P-0 本会議
7月2日(土曜日)15時20分〜16時45分
プレ・セッション
アジアの文化施設で広がる、社会包摂への取組
現在、世界各地の文化芸術施設では、社会にある不平等に対し積極的な取組が進んでいます。芸術文化のもつ多様性や人と人をつなぐ機能への関心が高まり、人々の幸福(ウェルビーイング)に資する活動が求めら、この潮流は特にこの10年で明確なものになりました。
このプレ・セッションでは、まず、今回のこの国際カンファレンスのテーマである「ウェルビーイング」「ダイバーシティ」「インクルーシブデザイン」「アクセシビリティ」などの言葉の前提を共有します。その後、各プレゼンターより日本、台湾、シンガポールそれぞれの地域の2000年代以降の美術館・博物館における社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)の活動や、課題についてお話いただきます。
登壇者
稲庭彩和子(独立行政法人国立美術館主任研究員)
青山学院大学(修士)、ロンドン大学UCL大学院(修士)。神奈川県立近代美術館を経て、東京都美術館のアート・コミュニケーション事業の新規立ち上げを担当。社会課題を視野に入れ、市民と協働する「とびらプロジェクト」や「MuseumStartあいうえの」、超高齢社会に対応する「Creative Ageing ずっとび」などを企画運営。2022年4月より現職。展覧会として「キュッパのびじゅつかん」展(15年)等担当。主著として『美術館と大学と市民が作るソーシャルデザインプロジェクト』(18年、青幻舎)、『コウペンちゃんとまなぶ世界の名画』(21年、KADOKAWA)、『こどもと大人のミュージアム思考』(22年、左右社)等。
リン・チエチー(国立台湾歴史博物館公共サービス・教育担当キュレーター)
イェール大学建築学部で環境デザインの修士号を取得後、ニューヨーク大学で博物館学を専攻。2016年より国立台湾歴史博物館に所属し、展示と博物館教育を担当している。近年は、文化的アクセシビリティ、平等な機会と、社会的包摂の推進に取り組んでいる。より多くの人々が博物館のリソースを有効活用できるよう、身体不自由や精神障害のある人々を対象とする支援センターや高齢者介護に従事する団体との協働に意欲を注いでいる。
アリシア・テン(ナショナル・ギャラリー・シンガポール コミュニティ&鑑賞担当アシスタント・ディレクター)
コミュニティ&鑑賞チームのリーダーとして、ナショナル・ギャラリー・シンガポールの鑑賞促進、ボランティア管理、地域連携、アート&ウェルネス・プログラムなどを監督。「アクセス・ガイド」、「スロー・アート」、「カーム・ルーム」などの鑑賞プログラムを始めとする先駆的な取組を2018年から主導。関係者との連係を通して、ギャラリーを拠点とした様々なコミュニティとの交流を実現している。
過去12年にわたって、ナショナル・アーツカウンシルが主催するシンガポール・アーツフェスティバルのマーケティング、セールス、開発、そしてナショナル・ギャラリー・シンガポールでのパートナーシップ開発に携わり、支援企業からの大口寄付誘致の実績も多数。現職に就任する前は、ギャラリーの企業スポンサー戦略を牽引し、その枠組みを確立した。
情報保障支援
日英同時通訳、手話通訳(日本語-日本手話言語)、文字情報支援(UDトーク)、事前資料提供
P-1 本会議
7月3日(日曜日)10時30分〜12時00分
セッション1
芸術文化がもたらす、人々のウェルビーイングとは
WHOが健康の定義のひとつとする「身体的、精神的、社会的なウェルビーイング」は、既存のGDP(国内総生産)では捉えきれていない、社会に生きる一人ひとりの主観的な幸せを示すものとして近年注目を集めています。なかでも、持続的なウェルビーイングのあり方は、それぞれが属する社会とのつながりや、世界各地の文化的価値によっても大きく異なることも指摘されています。そこで、本セッションでは、ウェルビーイング研究や表現者の実践から、芸術文化がもたらすウェルビーイングの基本的な理解を共有し、未来に向けたさらなる可能性を考えていきます。
登壇者
中村佑子(映画監督、作家)
慶應義塾大学文学部哲学科卒業。哲学書房にて編集者を経て、テレビマンユニオン参加。美術や建築、哲学を題材としたナラティブのドキュメンタリーを多く手がける。映画作品に『はじまりの記憶 杉本博司』(2012年)、『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』(15年/HOTDOCS正式招待作品)がある。文芸誌『すばる』での長期連載を経て、2020年1初の単著『マザリング 現代の母なる場所』(集英社)を出版。その翻案としてのAR映画『サスペンデッド』をシアターコモンズ’21で発表。近年は、女性性やケアめぐる新たな表現に取り組んでいる。
ピーター・ソウ(ART:DISパフォーミングアーツ・芸術制作責任者)
障害者とアートの分野に精通するアーティスト、教育者、ディレクター、パフォーマー。イギリスの演劇学校、ロイヤル・セントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマで間文化主義演劇の学位と先端演劇実践の修士を取得。2017年、「Project Tandem」設立。ろう者や障害のあるアーティストのメンターとしてパフォーマンスの共同制作を行う。2020年にパフォーミングアーツ・芸術制作責任者としてART:DISに参加。障害のある若手アーティストを育成し、Singapore Writers Festival、Singapore HeritageFest、Arts and Disability Forumで、分野横断型の作品を発表している。
内田由紀子(京都大学人と社会の未来研究院教授)
専門は文化心理学・社会心理学。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。日本学術振興会特別研究員PD、ミシガン大学Institute for Social Research客員研究員、スタンフォード大学心理学部客員研究員、甲子園大学人文学部心理学科専任講師、京都大学こころの未来研究センター助教、准教授、教授を経て、2022年より現職。19年~20年スタンフォード大学Center for Advanced Study in the Behavier Scienceフェロー。10年から13年まで内閣府「幸福度に関する研究会」委員,2021年からは文科省「中央教育審議会」委員。14年「たちばな賞」(京都大学最優秀女性研究者賞)、16年日本心理学会国際賞(奨励賞)受賞。
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/staff/yukiko-uchida/
情報保障支援
日英同時通訳、手話通訳(日本語-日本手話言語)、文字情報支援(UDトーク)、事前資料提供
P-2 本会議
7月3日(日曜日)13時15分〜14時45分
セッション2
ダイバーシティとの対話:多様な差異の包含・協働と文化関係の可能性
ダイバーシティ・多様性は企業、自治体、教育機関のキーワードとなっているが、それは果たして何を意味しており、どのように促進することが必要なのか?本セッションでは、ダイバーシティ・多様性奨励のさらなる進展に向けて、不平等・差別構造の是正・解消という根源的な問題に真摯に向き合い、境界や属性を多種多様に交錯する差異・アイデンティティーズ(複数形)を平等に包含するための対話を試みます。また、そうした社会のあり方のビジョンの提示・共有・学び(捨て)と横断的な対話・協働を促すことに向けた文化関係・アート・メディアの役割と可能性について共に考えていきます。
登壇者
李琴峰(日中二言語作家、翻訳者)
1989年台湾生まれ。2013年来日。17年、初めて第二言語である日本語で書いた小説『独り舞』にて第60回群像新人文学賞優秀作を受賞。以来、二言語作家・翻訳家として活動。19年、小説『五つ数えれば三日月が』(文藝春秋)で、第161回芥川龍之介賞、第41回野間文芸新人賞候補に。21年、小説『ポラリスが降り注ぐ夜』(筑摩書房)で、第71回芸術選奨新人賞を受賞。さらに、小説『彼岸花が咲く島』(文藝春秋)で第34回三島由紀夫賞候補、第165回芥川龍之介賞を受賞。多様な性的アイデンティティや日本に暮らす外国人の姿を、国家や歴史、文化とともに描く作品を通じ、人々に共生社会や多様性への思索を与え続けている。
李晶玉(画家、アーティスト)
1991年東京都生まれ。2018年朝鮮大学校研究院総合研究科卒業。在日朝鮮人3世という立場から、国家や民族に対する横断的な視点を足がかりに制作している。古典絵画からの構図の引用や象徴的なモチーフを用いてマジョリティの文脈や構造にアプローチをかけ、コラージュなどの手法で複層的な構造の平面作品を制作している。主な展示に「在日・現在・美術」展(14)、武蔵美×朝鮮大「突然、目の前がひらけて」(15)、「VOCA2020」(20)、「平成美術:うたかたと瓦礫デブリ 1989–2019」(21)、個展「記号の国」(21)、個展「SIMULATED WINDOW」(22)など。
岩渕功一(関西学院大学社会学部教授、<多様性との共生>研究センター長)
早稲田大学教授、モナシュ大学アジア研究所長などを経て2020年4月より現職。研究関心は越境的な文化の繋がりと対話、多文化社会における多様性の包含と文化シティズンシップ。メルボルンのイミグレーションミュージアムとの協働、東アジアの多文化表現実践プロジェクトを主宰。『多様性との対話』(編著/21年、青弓社)を出版し、日本における多様な差異を平等に包含し誰もが生きやすい社会の構築に向けた実践的な取組方を模索している。主な単著にRecentering Globalization (Duke University Press)、『文化の対話力』(07年、日本経済新聞社)、『トランスナショナル・ジャパン』(16年、岩波現代文庫)。
情報保障支援
日英同時通訳、手話通訳(日本語-日本手話言語)、文字情報支援(UDトーク)、事前資料提供
P-3 本会議
7月3日(日曜日)15時15分〜16時45分
セッション3
インクルーシブ・デザインは、文化をどのようにドライブするか?
近年、企業のみならず文化施設でも注目される「インクルーシブ・デザイン」は、高齢者、障がい当事者、外国人など、従来デザインプロセスから排除されてきた多様な人々を巻き込むことで、潜在ニーズを発見するデザインアプローチです。本セッションでは、誰しもが排除=障害に直面する可能性があるという前提を共有しながら、「インクルーシブデザイン」を取り巻く国内外の動向を紹介し、多様な立ち位置にある人々による共創が、どのように芸術あるいは文化を鼓舞していくのか、その可能性について考えていく。
登壇者
グラハム・プリン(ダンディー大学教授)
スコットランドにあるダンディー大学ダンカン・オブ・ジョーダンストン・カレッジ・オブ・アート&デザインにて教鞭を取る。障害学とデザイン研究の学際的研究機関である「Studio Ordinary」を共同設立。眼鏡店でオーダーメードの義肢を試作する研究プロジェクト「Hands of X」を展開、その後V&Aダンディにて展示会を実施した。デザイナーとしても活動し、デザイングループ「IDEO」代表として、高齢者向けの商用携帯電話からデザインプロジェクト「Social Mobiles」まで、様々なプロジェクトを主導。現在、複数の大学が共同で進める研究プロジェクト「Imagining Technologies for Disability Futures」の一環として、拡大・代替コミュニケーション(AAC)を使用する障害のあるメンターとともに日常の障害の未来を探求し経験のプロトタイプ化のプロジェクトを実施2009年に執筆した『Design Meets Disability』の翻訳書(邦題『デザインと障害が出会うとき』)が2022年オライリー・ジャパンより出版され、注目を集めている。
https://www.dundee.ac.uk/people/graham-pullin
緒方壽人(デザインエンジニア、Takramプロジェクトディレクター)
ソフトウェア、ハードウェアを問わず、デザイン、エンジニアリング、アート、サイエンスまで幅広く領域横断的な活動を行う。これまで携わった主なプロジェクトに、「HAKUTO」月面探査ローバーの意匠コンセプト立案とスタイリング、紙とデジタル・メディアを融合させたON THE FLYシステムの開発、21_21 DESIGN SIGHT企画展「アスリート展」ディレクターなど。2021年には、「コンヴィヴィアリティ(自立共生)」を足がかりに、これからの人間とテクノロジーのあり方を探る著書『コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』(BNN出版)を出版。グッドデザイン賞や文化庁メディア芸術祭、ドイツiFデザイン賞など、国内外での受賞歴多数。
https://convivial.tech
大杉豊(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター教授/手話言語学、ろう者学)
18歳の手話言語との出会いを「言語文化的に生まれ変わった」と表現する。劇団員、専門学校教員、米国の大学教員、きこえない当事者団体事務局職員などの職を経て、2006年より筑波技術大学に勤務。きこえない学生に手話言語学やろう者学を指導する傍ら、手話言語の歴史的な変化や地域的な差異をテーマにフィールドワークを続ける。全日本ろうあ連盟、全国手話研修センター日本手話研究所、日本アメリカ手話言語協会、現代人形劇センター、国際ろう者スポーツ委員会などで手話言語とろう者文化の社会的認知を求めてグローバルな活動を展開している。
http://www.deafstudies.jp
情報保障支援
日英同時通訳、手話通訳(日本語-日本手話言語)、文字情報支援(UDトーク)、事前資料提供
P-4 本会議
7月4日(月曜日)10時30分〜12時00分
セッション4
つながりを生み出す:私たちの文化的生態系
芸術文化の領域では、地域におけるアートプロジェクトをはじめ、作品の創作活動やワークショップ等を通じ、人々のつながりや新たな居場所を作り出すさまざまな試みが行われています。本セッションでは、インドネシアにおける共助社会の取組や、障害者と共創し異分野・異文化の人と地域を繋げるプロジェクトから、芸術文化がもたらす「つながり」とその社会的な機能に注目します。共助の仕組みを育み、多様な人々による主体的な「つながり」を醸成するためには、今後どのような連携やプロジェクトが必要になるのでしょうか? 文化施設が見据える社会的処方の実践に向け、芸術文化によるつながりと文化的生態系(cultural ecosystem)の次のビジョンを議論します。
登壇者
【登壇者変更のお知らせ】
栗栖 良依 氏(アートプロデューサー、認定NPO法人スローレーベル理事長)に代わり、東野 寛子 氏(SLOW LABELマネージャー/ パフォーマー)が登壇することとなりました。
東野寛子(SLOW LABELマネージャー/ パフォーマー)
生まれつき右手に欠指の障害がある。大学在学中よりミュージカルを中心とした表現活動を行い、2018年より、違いを認め合い共存できる舞台を目指し本格的に活動をはじめる。SLOW LABELのワークショップに参加したのをきっかけに、アカンパニストとして多様な人々との共創をする傍ら、2021年SLOW LABELのマネージャーに就任。2018年アジア太平洋国際芸術祭「TRUE COLORS FESTIVAL」出演、 2020年True Colors MUSICAL ファマリー「ホンク!〜みにくいアヒルの子〜」出演、東京2020 パラリンピック開会式チーフアカンパニスト。
ガタリ・スルヤ・クスマ(Struggles for Sovereignty: Land, Water, Farming, Food (SFS) )
ジョグジャカルタを拠点に活動。インドネシア国立ジョグジャカルタ芸術大学卒業後、文化、社会、政治、芸術に関する知識生産と批判的検証を趣旨とする団体「クンチ・スタディ・フォーラム & コレクティブ」に参加。「バクダパン・フード・スタディ・グループ」にも発足当初から携わり、共同で食、環境、政治、文化の研究・リサーチ手法の開発に関わる。他にも、学習プログラムの企画、研究、編集、フェローシップ事業への参加やワークショップ実施などの実績を持つ。現在、SFS、バクダパン、Bodies of Power / Power for Bodiesと共に、食と社会と環境正義に携わる実践者向けプラットフォームに取り組んでいる。
ニサ(Struggles for Sovereignty: Land, Water, Farming, Food (SFS) )
インディペンデント・リサーチャー兼クリエイティブ・ワーカー。ガジャ・マダ大学文化人類学部卒業後、バクダパン・フード・スタディ・ グループを共同設立。現在、SFS のメンバーとして精力的に活動している。なかでも介護と家事の問題、労働問題に関連する連帯と知識生産活動に関心を注ぎ、研究実践とラーニングメソッドの開発に取り組んでいる。
大澤寅雄((株)ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室主任研究員、NPO法人アートNPOリンク理事長)
2003年文化庁新進芸術家海外留学制度により、アメリカ・シアトル近郊で劇場運営の研修を行う。共著『これからのアートマネジメント“ソーシャル・シェア”への道』(11年、フィルムアート社)、『文化からの復興 市民と震災といわきアリオスと』(12年、水曜社)、『ソーシャルアートラボ 地域と社会をひらく』(18年、水曜社)。日本文化政策学会理事、堺アーツカウンシル プログラム・オフィサー。福岡を拠点として各地を移動しながら文化政策やアートマネジメントを研究し、地域文化を「生態系」として観察している。
情報保障支援
日英同時通訳、手話通訳(日本語-日本手話言語)、文字情報支援(UDトーク)、事前資料提供
P-5 本会議
7月4日(月曜日)13時15分〜14時45分
セッション5
テクノロジーとクリエイティビティで切り拓く、社会の課題と人々の価値観
情報技術の進展により、ユーザーそれぞれの身体特性や言語、環境等に応じた情報取得や、障害者自身のインクルーシブな視点による技術開発など、これまでになかったサービスや手法が生まれています。本セッションでは、技術の活用のみならず、それらをクリエイティブなアイデアや新たな発想によって応用し、障がい者や高齢者などのユーザーに届ける取組を紹介します。デジタル技術とクリエイティブの力により、ユーザー自身が楽しめる、そして障害への社会イメージへの変革や、社会参画の方法を切り開く可能性を考えていきます。
登壇者
鈴木メイザ(株式会社オリィ研究所 分身ロボットカフェ プロジェクトマネジャー)
2018年の広告会社在籍時に開催された「第一回分身ロボットカフェ」から社会人インターンとしてプロジェクトに参加。2019年にオリィ研究所に入社し、昨年開業した「分身ロボットカフェDAWN ver.β」のプロジェクト責任者を務めた。2021年の文化庁メディア芸術祭、グッドデザイン大賞の受賞をきっかけに各公式プログラムへの参画、アルスエレクトロニカへ2021におけるオンサイトプログラムのプロデュース、庵野秀明展での「OriHime鑑賞会」などを手掛け、文化・芸術との接点を失いがちな人々のために「新たな文化接点としてのOriHime」の可能性を模索し続けている。
https://dawn2021.orylab.com/
OriHime(パイロット:さえちゃん)
分身ロボットカフェ OriHimeパイロット・さえちゃんからのメッセージ!
身体表現性障害と診断され外出が困難です。そんな中、OriHimeを通じて社会とつながり、家の中だけだった私の世界は一気に広がりました。以前から読書会に参加したり朗読や読み聞かせをすることが好きでしたが、OriHimeでの活動を通して、朗読劇やOriHimeで演劇の演出にも挑戦しました。文化芸術を楽しむだけでなく制作者サイドにも活動の幅を広げていくことで、同じ境遇の多くの人の可能性が広がればいいなと思っています。
OriHime(パイロット:ゆい)
分身ロボットカフェ OriHimeパイロット・ゆいからのメッセージ!
昔から父の影響で絵を描くことが好きで、マルシェに参加して似顔絵を描いたり、オリジナルグッズを販売したりしています。コロナ禍になってからイベントに出ることも少なくなっていましたが、OriHimeを通してお客様に自分の作品を見ていただいたり、念願だったデザインフェスタやコミティアにOriHimeで連れて行ってもらえたり、天候や物理的距離を気にせず、今までにはない形で活動できるようになっています。将来は国内外で個展などできたらいいなと思っています。
小西哲哉(プロダクトデザイナー/株式会社exiii design代表取締役)
千葉工業大学大学院修士課程修了。パナソニックデザイン部門にてビデオカメラ、ウェアラブルデバイスのデザインを担当。退職後、2014年exiiiを設立。オープンソース義手「handiii」「HACKberry」のデザイン、アートディレクション等クリエイティブ全般を行う。18年より株式会社exiii designを設立。乙武洋匡さんとソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)によるロボット義足、国立リハビリテーションセンターと共同した長下肢装具「C-FREX」をはじめ、ウェアラブル、ロボット、福祉機器などの幅広いカテゴリーのプロダクトデザインを中心に、様々なプロジェクトに取り組んでいる。
https://exiii-design.com
松島倫明(『WIRED』日本版 編集長)
未来を実装するメディア『WIRED』の日本版編集長としてWIRED.jp、WIREDの実験区”SZメンバーシップ”、雑誌(最新号VOL.44特集「Web3」)、WIREDカンファレンス、Sci-Fiプロトタイピング研究所などを手がける。NHK出版学芸図書編集部編集長を経て2018年より現職。書籍編集者として手がけた代表的なタイトルに『フリー』『シェア』 『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』『国のない男』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』『BORN TO RUN』など。訳書に『ノヴァセン』(ジェームズ・ラヴロック)がある。内閣府ムーンショットアンバサダー。
https://wired.jp/
情報保障支援
日英同時通訳、手話通訳(日本語-日本手話言語)、文字情報支援(UDトーク)、事前資料提供
P-6 本会議
2022年7月4日(月曜日)15時15分〜16時45分
ラウンドテーブル
国際会議最後のセッションでは、コミッティメンバーとゲスト、そして会場やオンラインの視聴者も交えた「ラウンドテーブル」を開催します。国際会議のみならず、ショーケースや短期集中キャンプ、ネットワーキングの4つのプログラムで構成される本カンファレンスには、世界5カ国・地域から、100組以上の専門家、団体、クリエーターが参加しています。芸術文化による社会包摂をともに学び合い、共創していくために、これからの文化施設のあり方や、芸術文化の社会包摂性に関する共通的な未来へのビジョンをみんなで議論・提起します。
登壇者
稲庭彩和子(独立行政法人国立美術館主任研究員)
マウリーン・ゴー(ART:DISエグゼクティブ・ディレクター)
ピーター・ソウ(ART:DISパフォーミングアーツ・芸術制作責任者)
ガタリ・スルヤ・クスマ(Struggles for Sovereignty: Land, Water, Farming, Food (SFS) )
ニサ(Struggles for Sovereignty: Land, Water, Farming, Food (SFS) )
リン・チエチー(国立台湾歴史博物館公共サービス・教育担当キュレーター)
モデレーター
伊藤達矢(東京藝術大学 社会連携センター 特任教授)
東京藝術大学大学院修了(博士)。専門は美術教育。アートプロジェクトのディレクションなど多様な文化プログラムの企画立案に携わる。2011年より東京都美術館と連携した「とびらプロジェクト」や「Museum Start あいうえの」に従事。八戸市美術館運営協議会委員として美術館のリニューアルに関わる。共著に、『美術館と大学と市民がつくるソーシャルデザインプロジェクト』(青幻舎、2018)、『ミュージアムが社会を変える~文化による新しいコミュニティ創り』(現代企画室、2015)分担執筆等。
コメンテーター
青柳正規(歴史学者・考古学者/公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 機構長)
情報保障支援
日英同時通訳、手話通訳(日本語-日本手話言語)、文字情報支援(UDトーク)、事前資料提供